静岡を横切るサシバ大集団の飛来したルートは、渡りの時期とともに南下してゆきます(詳しくは八王子かわせみ研HP所収 資料・タカの渡り勉強会発表資料参照)。
推定される主なものは
① 富士川沿いに南下
② 富士山北麓、朝霧高原から天子山塊を南西に横切る
③ 富士南麓を西に明星山あたりを通過
④ 海岸沿いに西進する
の4本と見られます。
このうちの ② については清水盛道さんらの河口湖、大月、都留周辺の観察(詳しくはふれあい自然探鳥会HP、タカ渡り観察の部屋、静岡ルートの記録参照)で浮かび上がっており、今秋も大貫さんが確認しています(9月19、28データ)。
詳しい経路は不明ですが、八王子以西のこれらの勢力はかなり大規模で、桂川沿いの山稜を南西に横切り、富士南麓沿いに西進し、その大部分は朝霧高原から天子山塊を南西に飛んでいるようで、今秋も10月2日に田貫湖で目撃されています。
③ は富士山南麓のルートで丹沢越え、神奈川県太平洋側で飛んだ勢力が、御殿場付近を経由して、明星山で捕捉されています。④ は断片的な情報しかないのですが、静岡観察が一段落してから伊良湖で飛んでいることから推測されるものです。
規模から推測して最大の問題は、② の西部、甲府盆地を横切り静岡に向かうルートですが、過去に甲府330支部の方々が観察したものの大きい規模のものに出会えなくて概要が分からなかったのです、今秋の9月16日に三上忠克さんが富士川の甲府盆地出口でようやく確認されました。
富士川を南下する勢力は、② の西進組と甲府盆地から南下したのが合体しているのではと見ていますが、これからの探索最大の課題でしょう。
なお池上は富士川親水公園で2度観察したのですが、空振りでした。加齢にともなって動体視力の劣化が進んでいるためでしょうか。
静岡での観察ですが、杉尾山の望楼に入れなくなったため、静岡の皆さんは苦戦しています。ただ、公式にはアップされてはいませんが、杉尾山の北では3300羽の観察もあるようですから、例年と似たような数が通過しているのではないかと考えたいところです。早くいい定点を確保されんことを願う次第です。
以下、今秋の記録を記します。
ふれあい自然探鳥会タカ渡り観察グループの池上武比古が要約しました。
日付のあと【平山】はその日の平山林道サシバ・カウント数。文中はデータのある範囲で、日付、観察者名(敬称略)、観察時間、天気、温度、風向・風力、サシバカウント数。なおコメントは断りのない限り観察者のもの、池上のコメントは【 】内
本ページは池上氏が作成されたテキストデータをテーブル形式に変換したものです。
半角、全角文字の統一化、スペース 、”、”の挿入等を適宜行っています。
2018年 秋 | ||
9月16日(日) | 【平山 0、雨で観察なし】 | |
富士川親水公園(道の駅富士川臨時駐車場の脇) | 三上忠克 9:00-13:45 曇りのち晴れ 東風微風のち南西風弱風 結果:サシバ 44、ハチクマ 2、ノスリ 1、ツミ 2 詳報: 9:36 サシバ 13、ツミ 1 9:50 サシバ 2 10:10 サシバ 5 10:20 ノスリ 1 10:25 サシバ 1 10:47 サシバ 5 10:52 サシバ 4 11:00 サシバ 5 11:10 サシバ 6 11:54 サシバ 2、ノスリ 1 12:14 ハチクマ 1 13:20 ツミ 1 13:30 サシバ 1、ハチクマ 1 |
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9月19日(水) | 【平山 13】 | |
下吉田ターゲットバードゴルフ場 (富士市下吉田4丁目26)一昨年、昨年に続き、富士急沿線富士吉田市内で観察。北に三つ峠、東に倉見山、南東に杓子山 A パターン:三つ峠東前衛の山地(観察ポイントの北側を通過)を南西へ(天上山または富士急ハイランドの方向) B パターン:倉見山付近を経て観察ポイントの南側を通過後、南西へ(おそらく最終的にAパターンのルートに合流) |
大貫 12:00−14:00 東の風、気温 19 度、天気は曇、青空は全くなし 結果:サシバ 152 詳報: 10:50 サシバ 1 B 12:30 サシバ 2 B 13:50 サシバ 9 A 13:58 サシバ 2 A 14:21 サシバ 22 A 14:23 サシバ 10 A 14:42 サシバ 3 A 14:44 サシバ 34 B 14:53 サシバ 7 B 15:50 サシバ 52 B (真上を通過) 太陽が傾きかけ、観察地点が日陰になった午後4時少し前に、観察地点の頭上を50羽超という、この日、最大の柱が通過。日陰で平地の観察ポイントになぜかサーマルが。 |
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9月28日(金) | 【平山 1145】 | |
下吉田ターゲットバードゴルフ場 富士急沿線富士吉田市内で観察。北に三つ峠、東に倉見山、南東に杓子山 |
大貫 8:35-16:50 結果:サシバ 533 詳報: 11時台 サシバ 67 12時台 サシバ 399 13時台 サシバ 9 14時台 サシバ 41 15時台 サシバ 17 午前中は快晴、午後から徐々に雲が多くなる、ほとんどが三つ峠側の山地上を飛ぶ。前段のどこかで合流したのか、群れの規模が大きかった(最大は12:20頃の約90羽)。 当観察地の渡りの規模や飛来、飛去の傾向がほぼ確認できたので、当観察地の報告は今回で最後とします。 |
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10月2日(火) | 【平山 644】 | |
静岡県 田貫湖 付近 | 大塚隆廣さんの友人mizさん 13:15-13:45 晴 21℃ 風 北から東より1-2 結果:213 +、ハチクマ 28 + 詳報: 13:15 サシバ 73 +、ハチクマ10 + ① 長者が岳から天子が岳の稜線上空、10羽ほどのサシバを発見、次々と東から合流柱を形成し順次南へ 13:20 サシバ 47 +、ハチクマ 10 + ② 上記の群れより南側で柱形成、湖の上を南へ 13:22 サシバ 40 +、ハチクマ 5 + ③ ① の去った後へ東 側から飛来したサシバが集結し、柱を形成し順次南へ 13:30 サシバ 22 +、ハチクマ 1 + ④ ばらばらに来たグループが長者が岳さら天子が岳の稜線上空で旋回して柱形成順次南へ 13:41 サシバ 21、ハチクマ1 ⑤ ② の後続?柱は作らず順次湖の上を南へ 13:34 サシバ 10、ハチクマ 1 ⑥ ① のコースで長者が岳から天子が岳の稜線上空をそれぞれ単独で南へ 昼食中何気なく空を見上げたら、ゴマ粒が! あわてて双眼鏡を取り出すとサシバでした。 |
静岡ルート追跡記録 |
2016年秋 |